プレプリント / バージョン6

宇宙はブラックホールであるという仮説についての一考察

ニュートン力学と特殊相対性理論からのアプローチ

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  • 山脇, 正人 国立研究開発法人産業技術総合研究所 分析計測標準研究部門

DOI:

https://doi.org/10.51094/jxiv.63

キーワード:

ブラックホール、 シュワルツシルト半径、 事象の地平線、 ニュートン力学、 特殊相対性理論、 赤方偏移、 ビッグバン、 微細構造定数

抄録

宇宙論は現代においても様々なモデルが提案されているが、今回「宇宙は一つの巨大なブラックホールである」と解釈する一説に対して、ニュートン力学と特殊相対性理論を用いて議論した。事象の地平線が観測点のポテンシャルによってシフトすると考えることでブラックホール宇宙モデルが解釈され、そこから観測可能な宇宙の質量は1.03×1053 kgと見積もられた。今回の議論から、遠方の天体の赤方偏移はドップラーシフトによるものではなく、ブラックホール近傍における重力赤方偏移と等価なものであり、なおかつ宇宙のインフレーションは必ずしも天体同士が遠ざかる(空間が膨張する)ものではなく、シュワルツシルト半径が拡大している、という解釈を得た。また、ブラックホール内部の「斥力」を示唆する関係式に至り、その原子物理学などへの展開を試みた。

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公開済


投稿日時: 2022-05-05 20:20:45 UTC

公開日時: 2022-05-17 08:11:13 UTC — 2024-06-25 00:26:38 UTCに更新

バージョン

改版理由

本原稿は原稿version5の「5.3 ニュートン力学的と特殊相対性理論の一体化」を修正し、「5.4 原子・核物理学などへの応用」の項目を追加した。その他、本文や図の軽微な修正を行った。
研究分野
地球科学・天文学