韓流ドラマにおけるグローバルコンテンツ製作と組織内のキャリア・キャピタル －韓国のドラマ製作企業の事例分析を通じて－

抄録

2020年以降、COVID-19の影響でデジタルコンテンツ市場は世界的に急成長した。国境を越えたコンテンツの市場競争が本格的に始まり、韓国の製作会社が急成長している。韓国ドラマは、国内やアジア市場をターケットにしていた「韓流ドラマ」から、韓国発、世界向(Bae & Kim, 2022)を意味する「K-Drama」という独自のジャンルとして認められ、世界中の注目を集めている。K-Dramaは、Netflix、Amazon Prime、Apple+、Disney +、WBD、中国のWeTVとiQiyi、Viu、そして韓国のTvingとWaveを含むストリーミングプラットフォームでマストハブ・コンテンツとなっている(Frater, 2022)。グローバルOTT（Over The Top）に対応するために韓国の製作会社の人的資源管理の観点も変化した。グローバルなコンテンツ製作能力を意識した特殊なキャリア・キャピタルの開発の機会が特定の組織内に行われているのではないか。本論文では、K-Drama製作企業がグローバルコンテンツの製作能力を開発するキャリア開発体系を持つことについてキャリア・キャピタルの側面から分析する。具体的には、アジア的行動様式の影響を受ける韓国の組織内のキャリア・キャピタル開発過程に注目した。代表的なK-Drama製作企業は、グローバルOTT向けのコンテンツの製作能力を開発する仕組みを持つことを確認した。また、グローバルコンテンツを製作するプロデューサーのキャリア・キャピタルを市場ではなく、組織的に構築している面が見られる。