自動車事故における負傷・死亡リスクの新指標
既往歴と外傷以外の要因の影響
DOI:
https://doi.org/10.51094/jxiv.1119キーワード:
交通事故、 安全技術、 外傷、 既往歴、 ISS抄録
従来の自動車安全対策は、衝突時の外傷の低減に重点を置いてきた。しかし、近年の事故データ分析により、単なる外傷の低減だけでは十分でないことが明らかになっている。本研究では、事故時の負傷リスクに影響を与える既往歴に着目し、新たな安全対策の必要性を明らかにする。本研究では、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)のCrash Investigation Sampling System (CISS)データ(2017-2022年、9,889人)を用いて、既往歴が負傷の重症化および死亡リスクに及ぼす影響を評価した。結果として、既往歴があると軽衝突での負傷重症化リスクが最大6.7倍、死亡リスクが3.4倍増加することが示された。本研究の結果は、今後の安全技術が単に衝突エネルギーを低減するだけでなく、個々の乗員の耐性を考慮した安全対策へと進化する必要があることを示唆している。
利益相反に関する開示
本研究において、著者は開示すべき利益相反はありません。ダウンロード *前日までの集計結果を表示します
引用文献
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公開済
投稿日時: 2025-03-04 23:26:27 UTC
公開日時: 2025-03-11 00:57:08 UTC
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吉井, 勝司

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