発話の3つの害の為し方と非規制的アプローチの諸相:オンライン・ヘイトスピーチ規制の内在的制約
DOI:
https://doi.org/10.51094/jxiv.357キーワード:
ヘイトスピーチ、 尊厳、 言語行為論、 モデレーション、 政治の状況、 アイデンティティ政治抄録
本稿では、オンライン上でなされるヘイトスピーチの性質とその害の特性を、夙に近時において新たな発展を遂げてきた言語哲学上の発語媒介行為・発語内行為の観点 から明示化した上で、その許容性と望ましい(刑事)法的介入の態様を判断するにあたって考慮すべき事由を明らかにすることを試みる。
第1節では、いわゆるコンテンツモデレーションなど、発話そのものへの不可視化や沈黙化が、国家という規制主体以外のデジタルプラットフォーマーによる準-規制作用を介して可能となるオンライン空間の特徴を分析する。オンラインヘイトスピーチが集団への侮蔑的・差別的発話を介しもたらす害とされるものについて、集団的属性と個人に対する害との関係及び非対面状況におけるオンラインヘイトスピーチの空間的・言語的特性を介した害の構成・発生について整理を施す。
第2節では、上記の害の特質を踏まえた上で、オンラインヘイトスピーチの可罰性を問う前提を明らかにするべく、害の発生機序と(刑)罰の執行との間の距離から、可罰性概念と(刑)罰の執行を基礎付け、限定する法内在的な制約の前提を整理する。
第3節では、より具体的に法内在的な制約としての害と規制とのリスクトレードオフを法的介入・不介入の場面ごとに分類する。
第4節では、害に着目する本稿の歩みとは異なる言論の自由市場論に発する議論蓄積の中に本稿で見てきたアプローチを接続する可能性とその位置付けを示す。
利益相反に関する開示
なお,本論文に関して,開示すべき利益相反関連事項はない。ダウンロード *前日までの集計結果を表示します
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投稿日時: 2023-04-10 17:52:43 UTC
公開日時: 2023-04-14 10:40:02 UTC
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永石, 尚也
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