プレプリント / バージョン1

中古日本語の形容詞形態論

形容詞の語幹と接辞の分類と諸形式の形成の機序

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DOI:

https://doi.org/10.51094/jxiv.849

キーワード:

中古日本語形態論、 形容詞詠嘆形、 形容詞感動形、 形態音韻論、 生成音韻論

抄録

従来の分析に残された中古日本語における形容詞の語幹と接辞の分析に係る諸問題の解決を図った。終止形,連用形,連体形,已然形,命令形について,形容詞と接辞の連なり方を分析した。生成音韻論的分析手法を用いて,接辞に連なる形式を含む形容詞の語幹について,それぞれの表層形と基底形,それらが連なる際の音韻規則を想定した。中古日本語の形容詞の語幹はその末尾の音素により2種類(母音語幹・子音語幹)に分類できた。形容詞の接辞の基底形はその音素排列により4種類(終止・感動・連用・連体)に収斂できた。形容詞の語幹や接辞が基底形で連なるときに正しく表層形を生成するための音韻規則が明らかになった。本稿の手続きを踏まえると,形容詞の語幹と接辞の境界を厳密に規定できると明らかになった。併せて『日本語歴史コーパス』から得られた用例を活用し,形容詞の詠嘆形の形成の機序を解明した。

利益相反に関する開示

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公開済


投稿日時: 2024-08-15 06:25:14 UTC

公開日時: 2024-08-21 01:40:43 UTC
研究分野
文学・言語学・芸術学