警察庁交通事故統計情報オープンデータに基づく4輪車相互事故の損壊度および衝突部位の構造分析

抄録

本研究は、警察庁交通事故統計情報オープンデータを用いて、4輪車相互事故における車両損壊リスクの構造的特徴を明らかにすることを目的とする。損壊度（0〜3）については順序ロジットモデルを用いて確率分布を推定し、衝突方向については説明変数との関係をクロス集計により整理した。その結果、地形、道路構造、車両形状、当事者種別などの要因が損壊度および衝突部位に一定の影響を及ぼすことが確認された。本研究は日本の交通事情を反映した実測頻度に基づく分析であり、交通環境における実態的な傾向を把握する上で有用である。一方で、本研究は潜在的リスク要因を抽出する推定モデルではなく、実測データの構造的特徴を可視化することに主眼を置いた点に留意が必要である。