中国人日本語学習者の依頼メールに対する日本語母語話者の評価観点の分析
DOI:
https://doi.org/10.51094/jxiv.1480キーワード:
依頼メール、 評価観点、 中国人日本語学習者、 質的研究抄録
本研究は,日本語母語話者が,日本語学習者が書いた依頼のメールに対して,どのような点を重視して評価をしているのかを分析し,抽出したその観点が,読み手がメールを受信してから返信をするまでのプロセスの中で,メールというツールを使ったコミュニケーションのどのような役割や機能を評価する観点なのかを明らかにするものである。
中国人日本語学習者40名の依頼メールに対して,3名の日本語母語話者が「依頼を引き受けるかどうか」という視点で評価し話し合いながら順位付けを行った。その会話を質的に分析した結果「自己開示の適切さ」「依頼内容の明瞭さ」「読み手配慮の丁寧さ」「言語表現の自然さ」という4つの観点が抽出された。
これら4つの観点は,読み手がメールを受信してから返信するまでの一連のプロセスの中で,メールの信頼性や内容理解といった依頼メールの目的に関わることと,人間関係構築に関わることに対して評価を行う観点であるということを考察した。
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公開済
投稿日時: 2025-08-26 08:12:39 UTC
公開日時: 2025-09-01 05:58:55 UTC
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須賀, 和香子

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