このプレプリントは論文として出版されています
DOI: https://doi.org/10.24701/mathling.33.8_602
プレプリント / バージョン1

日本人の読み書き能力1948年調査における非識字率と生年の関係

##article.authors##

  • 横山, 詔一 国立国語研究所,研究系
  • 前田, 忠彦 統計数理研究所,データ科学研究系
  • 高田, 智和 国立国語研究所,研究系
  • 相澤, 正夫 国立国語研究所,研究系
  • 野山, 広 国立国語研究所,研究系
  • 福永, 由佳 国立国語研究所,研究系
  • 朝日, 祥之 国立国語研究所,研究系
  • 久野, 雅樹 電気通信大学,情報理工学研究科

DOI:

https://doi.org/10.51094/jxiv.73

キーワード:

読み書き能力、 非識字率、 生年、 言語変化のS字カーブ説、 キャズム理論、 ロジスティック回帰分析、 尋常小学校就学率

抄録

1948年に実施された日本人の読み書き能力調査のデータを用いて非識字率と生年との関係を分析した。言語変化のS字カーブ説と見かけ上の時間の考え方を援用して,非識字率を目的変数,生年と居住地(市部/郡部)を説明変数とするロジスティック回帰分析をおこなった。その結果,非識字率と生年には逆S字カーブの関係が認められ,生年が遅くなる(年齢が若い,下限は15歳)ほど非識字率が低下することが明らかになった。その主要な原因として,義務教育の無償化とあいまって尋常小学校就学率が時間経過とともに向上したことが考えられる。また,郡部の非識字率の逆S字カーブをグラフ横軸(生年)に沿って左方向に6年間分平行移動させると,市部の逆S字カーブに重なることも示した。

ダウンロード *前日までの集計結果を表示します

ダウンロード実績データは、公開の翌日以降に作成されます。

引用文献

Aitchison, J. (1991) Language change: progress or decay? 2nd ed. Cambridge: Cambridge University Press.

Rogers, E. M. (1962) Diffusion of Innovations. New York, NY: Free Press.

井上史雄(2018)「共通語化のスピード」『社会言語科学の源流を追う』(社会言語科学会 シリーズ社会言語科学 2)横山詔一・杉戸清樹・佐藤和之・米田正人・前田忠彦・阿部貴人(編)133,ひつじ書房

久屋愛実(2016)「見かけ上の時間を利用した外来語使用意識の通時変化予測」『日本語の研究』12(4),69-85

島村直己(1993)「近代日本のリテラシー研究序説―付・文献目録」国立国語研究所報告105『研究報告集』14,139-203,国立国語研究所

高田智和・久野雅樹・前田忠彦・相澤正夫・福永由佳・横山詔一(2021)「1948年読み書き能力調査の企画書「Literacy Research Program」について」『日本語学会2021年度秋季大会予稿集』31-36

横山詔一・前田忠彦・野山広・福永由佳・高田智和(2020)「日本人の読み書き能力1948年調査の非識字者率に対する新解釈」『日本語学会2020年度秋季大会予稿集』137-144

角知行(2012)『識字神話をよみとく:「識字率99%」の国・日本というイデオロギー』,明石書店

マックアーサー司令部公表(1946)『米国教育使節団報告書』国際特信社訳, https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1272931 (国立国会図書館デジタルコレクションで公開),英文原文はReport of the United States Education mission to Japan, submitted to the Supreme commander for the Allied powers, Tokyo, March 30, 1946, 以下で閲覧可 https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=pur1.32754081234191&view=1up&seq=7

読み書き能力調査委員会(1951)『日本人の読み書き能力』,東京大学出版部,https://dglb01.ninjal.ac.jp/ninjaldl/bunken.php?title=yomikaki (人間文化研究機構国立国語研究所所蔵)

ダウンロード

公開済


投稿日時: 2022-05-18 05:51:20 UTC

公開日時: 2022-05-19 10:12:45 UTC
研究分野
文学・言語学・芸術学