DOI: https://doi.org/10.24701/mathling.33.8_602
日本人の読み書き能力1948年調査における非識字率と生年の関係
DOI:
https://doi.org/10.51094/jxiv.73キーワード:
読み書き能力、 非識字率、 生年、 言語変化のS字カーブ説、 キャズム理論、 ロジスティック回帰分析、 尋常小学校就学率抄録
1948年に実施された日本人の読み書き能力調査のデータを用いて非識字率と生年との関係を分析した。言語変化のS字カーブ説と見かけ上の時間の考え方を援用して,非識字率を目的変数,生年と居住地(市部/郡部)を説明変数とするロジスティック回帰分析をおこなった。その結果,非識字率と生年には逆S字カーブの関係が認められ,生年が遅くなる(年齢が若い,下限は15歳)ほど非識字率が低下することが明らかになった。その主要な原因として,義務教育の無償化とあいまって尋常小学校就学率が時間経過とともに向上したことが考えられる。また,郡部の非識字率の逆S字カーブをグラフ横軸(生年)に沿って左方向に6年間分平行移動させると,市部の逆S字カーブに重なることも示した。
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引用文献
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投稿日時: 2022-05-18 05:51:20 UTC
公開日時: 2022-05-19 10:12:45 UTC
ライセンス
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横山, 詔一
前田, 忠彦
高田, 智和
相澤, 正夫
野山, 広
福永, 由佳
朝日, 祥之
久野, 雅樹
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