理工系学生のための国際教育環境整備

農学系を事例とした海外留学の課題と 九州大学国際教育ナビゲーションセンター設立に向けた展望

抄録

本論文では、海外留学者数の少ない理工系学生に焦点を当て、その海外留学を取り巻く環境について研究した。具体的には、九州大学農学研究院の国際教育について、2011年からの海外留学者の変化について考察した。短期・中長期を合わせた海外留学者数は増加したものの、協定校との単位互換制度の問題が解決されず卒業時期が遅れることから、中長期的な留学者数は限定的であることが示唆された。中長期的な海外留学を促進するためには、ダブルディグリー（DD）プログラムの導入、海外留学をカリキュラムに含む国際プログラムの設置、グローバル認証制度の導入などが、留学環境の改善に必要であると考えられる。九州大学では、これらの課題を越えて国際教育を推進するため、2024年に「国際教育ナビゲーションセンター」を設置する予定である。