企業アルムナイにおける退職者価値の差異とその要因
企業公式アルムナイの比較分析
DOI:
https://doi.org/10.51094/jxiv.5713キーワード:
企業アルムナイ、 退職後価値、 業種間差異、 社会関係資本、 企業アルムナイ・プログラム、 探索的研究抄録
本研究の目的は、日本における企業アルムナイ制度を対象として、退職者価値(Post-Separation Value: PSV、以下PSV)の構成を類型的に整理するとともに、その差異がどのような要因と関係して生じるのかを明らかにすることである。
近年、日本国内では、人的資本経営への関心の高まりや労働市場の流動化を背景として、企業と退職者との継続的関係を制度化する企業アルムナイ制度の設立が増加している。従来、退職は組織との関係の終結とみなされてきたが、近年では、退職後も継続しうる関係の再編成として捉え直されるようになっている(Dachner & Makarius, 2022; Makarius et al., 2025)。退職後に元従業員が元籍企業にもたらす便益は、Post-Separation Value(PSV)として理論化されており、再雇用、知識移転、関係維持、事業機会の創出などを含む多面的な価値として理解されている(Makarius et al., 2025)。
しかし、既存研究においては、PSVは多面的価値として提示されてきたものの、個別企業においてどのPSVが中心的価値として位置づけられるのかを類型的に把握する試みは限定的である。加えて、企業の属する業界などの条件の違いがPSVの差異とどのように関係しているのかについては、体系的な比較研究が乏しい。企業アルムナイ制度の設計においては、制度の目的を明確にし、それに応じた実践を意図的に選択することの重要性が指摘されている(Dachner & Makarius, 2022)。したがって、企業にとってどのPSVが中心的価値となるのか、またその差異がどのような条件と関係しているのかを明らかにすることは、制度設計の判断基準を提示するうえで重要である。
そこで本研究では、日本国内の企業アルムナイ制度を対象として、次の二つの課題を設定する。第一に、個別企業において、どのPSVが中心的価値として位置づけられているのか。第二に、その差異はどのような要因によって方向づけられるのか。本研究では、個社のPSVは一様ではなく、企業の属する業界や事業特性といった条件と関係して異なると考える。これにより、企業アルムナイ制度におけるPSVの差異を理解するための基礎的な枠組みを提示する。
利益相反に関する開示
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引用文献
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Makarius, E. E., Dachner, A. M., & Brymer, R. A. (2025). You say goodbye, and I say hello: The alumni–organization relationship and post-separation value. Academy of Management Review, 50(2), 251-271. https://doi.org/10.5465/amr.2022.0242
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公開済
投稿日時: 2026-07-24 07:03:55 UTC
公開日時: 2026-07-29 02:09:10 UTC
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高橋, 龍征
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