酸化カルシウムの水和膨張反応を利用した密閉容器における浮力発生の実験的検証
DOI:
https://doi.org/10.51094/jxiv.4723キーワード:
酸化カルシウム、 水和膨張、 浮力、 水酸化カルシウム結晶化、 かさ体積膨張、 密閉容器、 深海探査、 静的破砕剤、 低圧空隙、 自律型浮力装置抄録
コンクリートを破砕する膨張圧(30 MPa以上)を発生させる酸化カルシウム(CaO)の水和反
応——この破壊的なエネルギーは、「壊す」のではなく「浮かせる」方向に転化できる。本研
究は、剛体ではなく伸縮性のある密閉容器内でCaOの水和膨張反応を生じさせれば、水中にお
いて自律的な浮力が発生するという原理を、定量的な実験により実証した。
CaOが水と反応してCa(OH)₂となる際、結晶のランダムな配向成長により結晶間に低圧空隙が
形成され、密閉容器のかさ体積が増大する。第一段階として食品用乾燥剤90 gと水35 mLをシ
リコンパックに密閉して水中に沈め、結晶化後の浮上を確認した。第二段階として静的破砕剤
を用い、ゴム風船内での水中重量の経時測定を行った。静的破砕剤200 gと水50 mLの標準条
件では、水中重量が初期値120 gから60時間後に−20 gへと反転し、容器は自律的に浮上した。
材料を2倍にした条件(400 g / 100 mL)では浮力変化量も2倍となり比例関係が確認された。
過剰水条件(200 g / 200 mL)では浮力発生が大幅に抑制された。さらに浮上したそれらの容器
を水中で穿孔すると内部に水が浸入し元の水中重量に復帰した。第三段階として、密閉容器内
の水和反応により外部水面が上昇することを確認し、かさ体積の増大を直接的に示した。これ
らの結果から、Ca(OH)₂の結晶化に伴い結晶間に低圧空隙が形成され、密閉容器のかさ体積が
膨張することで浮力が発生するメカニズムが実証された。本知見は、外部電源を必要としない
自律型深海浮上装置(日本国特許第 7807125 号)の原理実証となるものであり、深海工学への新
たな応用可能性を示すものである。
利益相反に関する開示
著者は本論文で報告した技術に関する日本国特許(特許第 7807125 号「膨張性固体反応物を用いた自律型浮上・掘削・観測装置」)の権利者である。当該特許の審査過程において、本原理に関連する先行技術の存在は確認されなかった。本研究は自己資金により実施されたものであり、外部からの資金援助は受けていない。ダウンロード *前日までの集計結果を表示します
引用文献
静的破砕剤協会, "静的破砕剤とは", https://seitekihasaizai.org/seitekihasaizai/ (2026年5月閲覧).
太平洋マテリアル株式会社, "太平洋ブライスター(一般型・練混ぜタイプ)製品技術資料", https://www.taiheiyo-m.co.jp/products/product_detail.php?cate=9&itemNum=30 (2026年5月閲覧).
国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC), "海洋ロボティクスがめざす近未来技術", https://www.jamstec.go.jp/engd/j/robotics.html (2026年5月閲覧).
文部科学省 科学技術・学術審議会海洋開発分科会, "我が国の深海探査システムの今後の在り方について", 2025年.
木村力也, 日本国特許第7807125号「膨張性固体反応物を用いた自律型浮上・掘削・観測装置」, 2026年1月27日発行.
ダウンロード
公開済
投稿日時: 2026-05-26 18:04:33 UTC
公開日時: 2026-07-09 03:00:26 UTC
ライセンス
Copyright(c)2026
木村, 力也
この作品は、Creative Commons Attribution 4.0 International Licenseの下でライセンスされています。
