プレプリント / バージョン1

顧客サービス従業員の意識調査と日米異文化比較

- 職務満足と職務パフォーマンス -

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DOI:

https://doi.org/10.51094/jxiv.354

キーワード:

COVID-19 における調査、 顧客サービス従業員、 信頼、 職務満足、 職務パフォーマンス、 人間-職業-環境間の適合モデル

抄録

顧客サービス従業員が提供するサービスとは無形ではあるが、顧客と従業員の相互作用の影響が、企業の業績に影響を及ぼすことはしばしばみられる。従って、顧客サービス従業員が経験から得た暗黙の知識を、COVID-19パンデミック中に、解雇や一時休暇、転職や退職で失われるのは非常に残念なことである。本研究は、COVID-19パンデミック中に、米国と日本の顧客サービス従業員を対象として意識調査を実施した。最終的には、顧客サービス従業員に関する日米間異文化比較を実施した。米国における顧客サービス従業員に関しては、まず、COVID-19のような困難な外部環境においては、雇用主である企業あるいは組織に対する「信頼」がモデレーターとなり職務満足感に強い影響を与えていることが判明した。次に、職務満足を感じた従業員は、職務パフォーマンスを向上させることが顕著に表れた。日本における顧客サービス従業員に関しては、まず、たとえ役割の曖昧性を知覚していたとしても、従業員は職務を遂行して職務満足感を得る傾向が判明した。次に、職務満足感を得た従業員は職務パフォーマンスも向上させることが明らかになった。最終的に本研究は、人間と環境と職業との相互効果を最大限に活かすモデルを提案する。例えばCOVID-19により悪化する環境においても、ストレスの少ない職業生活の維持には、個人の特性ならびに個人的資源と一致する職業的活動への従事に加えて、企業・組織との「信頼関係」が重要であることを強調する。さらに、個人が有効的に活用できる資源を獲得して、職業的・私的生活を充実させることが重要であることを強調する。

利益相反に関する開示

本論文に関して,開示すべき利益相反関連事項はない。

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著者の経歴

岡部, 倫子、横浜国立大学 地域連携推進機構 成長戦略教育センター

【学歴・学術研究・教育歴】

・フランス国立土木大学 ENPC ビジネススクール MBA 修了

・フランス国立トゥルーズ・ビジネススクール 航空MBA 修了

・横浜国立大学大学院 国際社会学府 経営学専攻 博士課程後期修了 Award of Excellence 受賞 博士(経営学)

・横浜国立大学 地域連携推進機構 成長戦略センター教育センター 研究員

・中央学院大学 商学部 非常勤講師 

・岡山大学 工学部 非常勤講師

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公開済


投稿日時: 2023-04-06 08:45:57 UTC

公開日時: 2023-04-10 10:26:35 UTC
研究分野
経済学・経営学