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猫問答:もう一つの人体論に向けて(Ⅰ)

第二章 無意筋——意識の下で動作を支える“見えない”骨格筋の成り立ち

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DOI:

https://doi.org/10.51094/jxiv.3446

キーワード:

無意筋、 姿勢筋、 運動制御、 筋感覚、 ナラティブ研究、 学際的アプローチ

抄録

本稿は,“意識の下で動作を支える”骨格筋として,「無意筋」という新たな視点を提案する。骨格筋は一般に随意筋とされるが,腸腰筋や烏口腕筋など,意識的に動作させることが困難な筋群も存在する。これらは,収縮・弛緩の状態や疲労の知覚も難しい。また姿勢保持や動作の安定に不可欠であるにもかかわらず,既存の分類ではインナーマッスルや補助筋として扱われ,知覚の有無という観点からは十分に検討されてきたとは言いがたい。

 

本稿では,筋肉の分類を整理し,進化的視点から無意筋の起源をたどることで,動作における意識と無意識の関係を再考する。特に,脊椎動物の水中から陸上への移行過程において,姿勢制御を担う筋肉がいかにして“意識されない”存在となったのかを検討していく。さらに,無意筋の存在が,姿勢不良や慢性痛といった臨床的問題の理解に新たな視座を提供しうる可能性を探る。

 

利益相反に関する開示

本稿において利益相反に該当する項目はありません。

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著者の経歴

野村 泉太郎、独立研究者

要旨

本稿は,“意識の下で動作を支える”骨格筋として,「無意筋」という新たな視点を提案する。骨格筋は一般に随意筋とされるが,腸腰筋や烏口腕筋など,意識的に動作させることが困難な筋群も存在する。これらは,収縮・弛緩の状態や疲労の知覚も難しい。また姿勢保持や動作の安定に不可欠であるにもかかわらず,既存の分類ではインナーマッスルや補助筋として扱われ,知覚の有無という観点からは十分に検討されてきたとは言いがたい。

 

本稿では,筋肉の分類を整理し,進化的視点から無意筋の起源をたどることで,動作における意識と無意識の関係を再考する。特に,脊椎動物の水中から陸上への移行過程において,姿勢制御を担う筋肉がいかにして“意識されない”存在となったのかを検討していく。さらに,無意筋の存在が,姿勢不良や慢性痛といった臨床的問題の理解に新たな視座を提供しうる可能性を探る。

引用文献

坂井健雄・松村譲兒(監訳):プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論・運動器系,医学書院,2007.

シュービン,N.:ヒトのなかの魚,魚のなかのヒト,早川書房,2008.

岩堀修明:図解 感覚器の進化―原始動物からヒトへ 水中から陸上へ,講談社,2011.

渡辺佑基:ペンギンが教えてくれた物理のはなし,河出ブックス,2014.

キャリー,N.:エピジェネティック革命,丸善出版,2015.

野村泉太郎:相対痛入門―消えない痛みには理由があった Ver1.2,Amazon POD出版,2020.

土屋健:機能獲得の進化史,みすず書房,2021.

本川達雄:ウマは走る ヒトはコケる―歩く・飛ぶ・泳ぐ生物学,中央公論新社,2024.

ワグナー,A.:眠れる進化,早川書房,2024.

Murakami Y・Tanaka M:Evolution of motor innervation to vertebrate fins and limbs,Developmental Biology,355(2),164–172,2011.

Miyake T・Okabe M:Roles of mono- and bi-articular muscles in human limbs: Two-joint link model and applications,Integrative Organismal Biology,4(1),obac042,2022.

野村泉太郎:猫問答:もう一つの人体論に向けて(I)第一章 相対痛——感覚信号のズレによる痛みの構造,Jxiv,2026. https://doi.org/10.51094/jxiv.2850.v2

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公開済


投稿日時: 2026-03-16 10:15:58 UTC

公開日時: 2026-05-01 06:40:45 UTC
研究分野
生物学・生命科学・基礎医学