利他性を超えて:分析型ボランティアと社会イノベーション・ネットワークの形成
DOI:
https://doi.org/10.51094/jxiv.3380キーワード:
分析型ボランティア、 ボランティア動機、 社会イノベーション、 地域資源活用、 ネットワーク形成、 社会起業、 地域社会抄録
本研究は、地域資源を活用した社会活動の形成過程においてボランティアが果たす役割を検討する。従来のボランティア研究では、活動参加の動機は利他性や社会貢献意識によって説明されることが多かった。しかし、本研究はボランティア活動の継続性を支える要因として、現場の状況を観察し問題構造を分析することへの知的関心に注目する。
本研究では、宮城県の離島に自生する椿葉を活用した地域資源プロジェクトを事例として、中心的実践者A氏の活動を質的に分析した。A氏は地域住民、企業、福祉施設、観光関係者、研究者など複数の主体を結びつける役割を担っており、本研究はこのような実践者を「分析型ボランティア」と概念化する。分析型ボランティアとは、利他的動機だけでなく、現場の状況を観察し問題を分析しながら活動を組み立てること自体に興味を持つ参加者である。
事例分析の結果、椿プロジェクトは多様な主体のネットワーク形成には成功しているものの、安定した事業化にはまだ至っていないことが明らかになった。本研究はこの段階を地域社会における社会イノベーションの「生みの苦しみ」として位置づける。
本研究は、ボランティア研究において分析的思考を動機とする参加者の存在を示すとともに、地域イノベーションの形成過程におけるネットワーク媒介者の重要性を明らかにする。
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公開済
投稿日時: 2026-03-11 01:39:23 UTC
公開日時: 2026-04-14 09:34:10 UTC
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Kokubun, Keisuke
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