成立してしまっている世界の存在論
回収されない条件
DOI:
https://doi.org/10.51094/jxiv.2934キーワード:
非基礎づけ、 脱構築、 生成論、 仏教哲学、 現象学、 成立条件論、 非回収的存在論、 回収構造、 非完結性抄録
本稿は、「成立条件論」と呼ばれる存在論的記述の配置を提示し、その理論的位置を明確にすることを目的とする。現代哲学において世界の非完結性や基盤不在は広く共有されているが、それらがいかなる仕方で理論的に処理され、最終的にどの地点へと回収されてきたかは十分に検討されてこなかった。本稿はこの点に着目し、既存思想における非完結性の扱いを「回収構造」という観点から再整理する。
その結果、「成立条件論」とは、世界がすでに成立してしまっているという取り消し不可能な事実が、原理・意味・生成・価値といった枠組みに回収されないまま、思考がそれ以上進まない地点として残ってしまっている事態を記述する存在論であることが示される。その特徴は、新たな原理や説明を提示する点ではなく、哲学が従来引き受けてきた最終的回収を行わないという記述上の配置にある。
さらに本稿は、脱構築、生成論、仏教哲学、現象学との比較を通じて、成立条件論がこれらと問題圏を共有しつつも、非完結性を意味・原理・実践へと変換しない点で異なる位置にあることを明らかにする。以上を通じて本稿は、成立条件論を、回収を拒否する哲学ではなく、回収が成立しないという事態そのものを記述する「非回収的存在論」として位置づけ、世界をこれ以上意味変換することなく指示するための哲学的配置を示す。
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引用文献
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投稿日時: 2026-02-03 12:06:54 UTC
公開日時: 2026-03-27 06:09:34 UTC
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Yamashita, Hiroki
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