プレプリント / バージョン1

税関支署別にみた青果物輸出地点の特徴と変化に関する分析

2013年から2023年までの貿易統計をもとにして

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DOI:

https://doi.org/10.51094/jxiv.2598

キーワード:

青果物輸出、 貿易統計、 税関支署、 輸出経路

抄録

この論文は,2013年から2023年までの貿易統計を基に,日本の青果物輸出地点の特徴と変化を分析している.2012年12月に発足した第2次安倍政権の「アベノミクス」により,日本の農産物輸出が注目され,農林水産物の輸出拡大策に関連する研究が盛んに行われた.輸出量は輸送費や為替レートによって変化し,これに関する研究も進められた.2020年以降,農林水産物輸出が軌道に乗り,輸出量が増加したことで,実際の輸送経路をふまえた輸送コストや効率的な経路開拓に関する調査・研究も増加した.輸送コストや産地からの輸出戦略を立てるためには,具体的な輸出港湾・空港の実態把握が必要であるが,統計データの制約から全容把握は困難である.本稿では青果物の輸出を対象に,税関・税関支署ごとの輸出データを分析している.輸出額は2017年を除き毎年増加しており,特に2021年からの増加は急激な円安の影響を受けた.主要な輸出品目はりんごで,2013年には輸出額の36%を占めていたが,2023年には25%に低下した.一方,いちご,ぶどう,ももなどの果実類の輸出額は増加した.青果物全体では東日本からの輸出額が多い.品目は東日本で生産量が多いりんごやながいもが中心である.空港別では関西空港が最も多く,成田と羽田を合わせた輸出額が続く.COVID-19の影響で国際線が減便され,福岡空港からの国際航空路線は一時的に減少したが,フォワーダーが東京経由の便を手配することで取引を維持した.また沖縄県の補助金政策により那覇空港からの輸出が増加したが,補助金の継続性に疑問を持つ業者が多く,長期的な効果は限定的であった.輸出業者は長期的な取引を重視し,関東関西の中央卸売市場青果仲卸を基盤とする輸出業者が強い影響力を持っている.地方港湾・空港からの輸出は少なく,特定産地からの大量輸出がある場所に限られ,国内各地で輸出を目的として地方活性化を図るのは難しい状況にある.

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公開済


投稿日時: 2026-01-13 08:04:12 UTC

公開日時: 2026-01-21 07:18:05 UTC
研究分野
農学・食品科学