パンデミック前後における保育園における症状、疾患別の年齢別発生状況
DOI:
https://doi.org/10.51094/jxiv.1534キーワード:
保育園、 感染症、 病欠、 新型コロナウイルス感染症抄録
こども家庭庁の子ども未来戦略(令和5年12月22日閣議決定)によると、共働き・共育ての推進について、子が3歳以降小学校就学前までの柔軟な働き方を実現、時短勤務時の新たな給付など育児期を通じた柔軟な働き方されている。その一つの柱として検討されているのが病児あるいは病後児保育の拡充と同時に子の看護休暇の拡大である。しかしながらそもそもどの年齢がどの季節に、どの程度の病欠が発生しているのか、そうした統計的な裏付けは多くはない。唯一の例外は10年以上前の一園の記録である[1]ために、どこまで一般性があるのか、とくに新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降においても成り立つのかは自明ではない。そこで、パンデミック以前の3年間とパンデミック以降として2024年4月以降の状況を比較、検討する。
その情報源として保育園サーベイランスを用いる。保育園サーベイランスは、地域内の感染症流行情報をリアルタイムで情報共有できるシステムで。2010年より稼働している。これは、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザあるいは感染性胃腸炎などの感染症での欠席及び症状(発熱、急性呼吸器症状、下痢、嘔吐、発疹等)での欠席(病欠)について、保育施設が毎日人数のみを登録したと同時に、その情報を関係者(行政(保健所、保育課)、嘱託医、医師会等)で共有される。施設での入力が一元化されており、システムに自動的に異常な増加傾向を探知する仕組みが搭載されており、過去と比較して増加傾向を示した時にはアラートとしてシステム内のグラフに表示され、また行政並びに登録しているメールアドレスに送付される。その活用事例あるいは有効性に関する検討は多い[2-14]。
利益相反に関する開示
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引用文献
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投稿日時: 2025-09-23 14:51:22 UTC
公開日時: 2025-10-06 08:22:24 UTC
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