Jxiv(ジェイカイブ)は、査読前論文(プレプリント)をオープンアクセスで公開する、日本発のプレプリントサーバです。研究論文の迅速な公開と共有により、研究成果に関する先取権獲得の支援、研究開発の加速、グローバルな学術研究への貢献や公共知の構築に寄与することを目的として、2022年より、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が運営しています。
ジャーナルへの投稿前あるいは投稿と同時にプレプリントを公開することで、研究コミュニティからのフィードバックのサイクルが早まり、プレプリント投稿者自身の研究の加速だけでなく、研究コミュニティ全体の活性化が期待できます。この点で、Jxivは、すべての分野の日本語または英語のプレプリントを無料で受け付けており、本邦特有の研究成果を公表する場として利用できます。
Jxivの活用法として、例えば、ジャーナルでの公開を待てないような緊急時における知識の発表・共有の場とすることが可能です。Jxivへの投稿から公開までは、原則として48時間程度(休日を含まない)とスピーディであり、研究成果の社会への迅速な還元にも貢献します。公開されたプレプリントについては、随時、改版による修正が可能であることから、状況の変化に対応した知見の更新も可能です。
また、対象分野に限定はなく、自然科学・人文学・社会科学を含むすべての研究分野に加えて、既存の枠組みを超えた学際的な内容も取り扱います。自らが専門とする領域以外の研究者の目に留まるため、プレプリント公開をきっかけに、領域や分野を横断して協働し得る研究者からコンタクトされるなどにより、研究の新たな展開の機会が得られることなどが期待されます。
Jxivでは、読者を研究者に限定しておらず、日本語あるいは英語のプレプリントを、アカデミックな枠を超えて広く公開しています。従って、上記の緊急時に限らず、本邦を取り巻く状況にフォーカスを当てた研究や、専門知の活用としてのエビデンスに基づく政策形成の推進等、社会的なインパクトを持つ論文を、幅広い読者を対象に公開することができます。
公開されたプレプリントを閲覧・利用する際に費用はかかりません。また、公開されたプレプリントにはDOI*1が付与され、オープンアクセス*2のコンテンツとして、著者が定めた条件の下で二次利用(複製、転載等)が可能です。プレプリントが論文としてジャーナルから出版された際には、DOI 等によるリンクが著者により設定されることにより、最終的なジャーナル出版版を参照することも容易です。
プレプリントは査読前論文であり、研究者による学術的な評価・検証が行われていない原稿です。閲覧者・利用者は、Jxiv上のプレプリントが最終出版版の論文ではない点に十分に留意する必要があります。また、報道機関等は、プレプリントの内容を確立された情報として報道しないようご注意ください。
Jxivでは、投稿されたすべてのプレプリントに対し、論文としての体裁や、倫理的・法的リスクの有無、さらには剽窃に該当しないか等を確認するために、公開前に最低限のスクリーニングを行います。投稿者は、このプロセスについて十分に理解し、承諾する必要があります。Jxivにいったん公開されたプレプリントは半永久的に公開され続け、取り下げたり削除したりすることはできない点にご留意ください。改版を行った後においても、すべての版が公開の対象となります。いったん発表した成果について、投稿者が継続的に責任を負うことは、論文でもプレプリントでも変わりはありません。投稿者として、この継続的公開について十分に理解した上で、投稿を実施する必要があります。
*1 DOI:Digital Object Identifierの略。論文、研究データ、書籍等のコンテンツに対して付与される国際的な永続識別子で、コンテンツへの恒常的なアクセスを可能にするURLとして機能する。
*2 オープンアクセス:無料で閲覧でき、著者によって定められた条件のもとで二次利用が可能な状態。